【2024年診療報酬改定(調剤)】薬剤師がおさえるべきポイントを解説

0800-222-6056

受付:平日9:00-18:00

0800-222-6056 薬剤師転職について無料で相談を受ける 無料!相談する

【2024年診療報酬改定(調剤)】薬剤師がおさえるべきポイントを解説

2024年6月6日掲載

2024年度は2年に1度(薬価については1年に1度)行われる診療報酬改定(調剤)の年です。今回の診療報酬改定(調剤)では、薬剤師の賃上げや在宅医療、調剤後フォローアップに関連する指導料や加算の新設など、薬剤師に関係する変更点が多く見られます。

本記事では、2024年度の診療報酬改定(調剤)について、薬剤師がおさえておきたいポイントを解説します。

2024年診療報酬改定(調剤)の重点項目とスケジュール

診療報酬改定(調剤)は国の目指す指針が反映された内容となっているため、薬剤師として生き残っていくために診療報酬改定(調剤)の変更点や重点項目を理解することは大切です。

とくに2024年度(令和6年度)の診療報酬改定(調剤)では、物価高騰や新興感染症、医療DXといった時代の変化に関する改定項目が設けられています。また今回の診療報酬改定(調剤)は従来とは異なるスケジュールで進むため、正しく把握しておく必要があるでしょう。

そこで2024年度の診療報酬改定(調剤)について、薬剤師が知っておくべき重点項目やスケジュールについて解説します。

調剤に関わる3つの重点項目

2024年度(令和6年度)の診療報酬改定(調剤)において、調剤に関わる重点項目は以下の3つがあげられます。

  1. 1. 地域の医薬品供給拠点としての役割を発揮するための体制評価の見直し
  2. 2. 質の高い在宅業務の推進
  3. 3. かかりつけ機能を発揮して患者に最適な薬学的管理を行うための薬局・薬剤師業務の評価の見直し

とくに「1」には賃上げについての項目が盛り込まれており、40歳未満の薬剤師に大きく関係する内容と言えるでしょう。

参考:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」

2024年の診療報酬改定(調剤)はいつ?今後のスケジュール

2024年度の診療報酬改定(調剤)では、施行までのスケジュールがこれまでとは異なります。従来は薬価改定・診療報酬改定(調剤)ともに4月1日に施行されていましたが、今回の診療報酬改定(調剤)は2か月後ろ倒しにされ、6月1日施行へと変更されました。

診療報酬改定(調剤)の施行が後ろ倒しにされた理由は、医療機関や薬局、ベンダーの業務負担を軽減するためです。答申や告示から施行までの期間が長くなったため、これまでよりも改定内容を調剤業務に反映しやすくなるでしょう。なお、薬価改定は従来通り4月1日に行われます。

参考:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定【全体概要版】」
参考:厚生労働省保険局医療課「中央社会保険医療協議会 総会(第 551 回) 議事次第」

【2024年診療報酬改定(調剤)】体制強化の見直しに関するポイント

地域の医薬品供給拠点である薬局には、かかりつけ機能や新興感染症への対応、医療DXの推進などさまざまな機能や体制強化が求められています。そういった薬局の体制強化に関して、2024年度の診療報酬改定(調剤)では評価の見直しが行われます。

とくに本項目には薬剤師の賃上げに関する内容が盛り込まれており、どういった内容なのか気になる薬剤師の方も多いかもしれません。薬局の体制評価の見直しについて、薬剤師がおさえておきたいポイントを解説します。

薬剤師の賃上げ

昨今の物価高騰の社会情勢を踏まえ、2024年度の診療報酬改定(調剤)では、医療従事者の賃上げ実現に向けた特例的な対応が実施されます。

40歳未満の医療従事者の賃上げ目標として、国は2024年度に+2.5%、2025年度に+2.0%のベースアップ(賃金表の改定などにより賃金水準を引き上げること)の実現を目指しています。目標達成に向けて、病院薬剤師には+0.61%、薬局の勤務薬剤師には+0.28%となる報酬改定が行われる予定です。報酬の上乗せ以外にも、調剤報酬による賃上げを税額控除の対象とする「賃上げ促進税制」や厚生労働省による抽出調査が予定されています。

賃上げに向けてさまざまな取り組みが行われており、病院薬剤師・薬局薬剤師ともに積極的な賃上げが期待されます。

調剤基本料の見直し

調剤基本料の引き上げが予定されているのが、調剤基本料1・調剤基本料2・調剤基本料3(イ)(ロ)(ハ)を算定する薬局です。地域住民に対して安定した医薬品供給行うことで地域医療に貢献できるよう薬局を整備したり、スタッフの賃上げを実施したりするために調剤基本料が3点引き上げられます。

  • 調剤基本料1:42点→45点
  • 調剤基本料2:26点→29点
  • 調剤基本料3イ:21点→24点
  • 調剤基本料3ロ:16点→19点
  • 調剤基本料3ハ:32点→35点

一方で、特別調剤基本料Aを算定する「いわゆる同一敷地内薬局」や特別調剤基本料Bを算定する基本料の届出がない薬局は、調剤基本料が2点減算されます。

  • 特別調剤基本料A:7点→ 5点
  • 特別調剤基本料B:7点→ 3点

医療DX推進における加算の新設

近年オンライン資格確認やマイナンバーによる診療情報の活用など、医療DXが推進されつつあります。診療報酬改定(調剤)においても医療DXに関連する加算が見直されたり新設されたりするため、注意が必要です。

たとえば、オンライン資格確認システムなどの医療DXに関する体制整備への評価として、これまでは「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を算定していました。今回の診療報酬改定(調剤)では医療DXの体制整備を重視する本加算の内容が見直され、診療情報や薬剤情報の活用を重視する「医療情報取得加算」へと名称が変更されます。

さらに電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスを導入している薬局を評価する「医療DX推進体制整備加算」も新設されます。

在宅訪問の体制評価の新設

在宅訪問体制とその実績に基づいて薬局を評価するために新設されたのが「在宅薬学総合体制加算」です。従来算定していた「在宅患者調剤加算」が廃止される代わりに、本加算が新設されます。

「在宅患者調剤加算」と異なるのは、医療用麻薬を備蓄し、無菌製剤を調製する体制と小児在宅患者への在宅訪問体制とその実績に対して算定できる点です。本加算には、「在宅薬学総合体制加算1」と「在宅薬学総合体制加算2」の2種類があります。在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出や在宅薬剤師管理の実績などがあれば、従来の「在宅患者調剤加算」と同等の点数である「在宅薬学総合体制加算1」の15点を算定できます。

さらに医療用麻薬を備蓄し、無菌製剤を調製する体制があるか、小児在宅患者に対応する体制とその実績などがある場合には、「在宅薬学総合体制加算2」の50点を算定できるのが大きな変更点です。

参考:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」

【2024年診療報酬改定(調剤)】在宅業務の推進に関するポイント

2022年度に行った厚生労働省の調査によると、全体の70%以上の薬局が在宅対応をしていると報告されており、高齢化が進む日本では在宅医療のニーズが高まっています。

2024年度の診療報酬改定(調剤)では、従来指導料や加算を算定できなかった在宅業務に対して指導料や加算が新設されているため、取りこぼしのないよう事前に把握しておく必要があるでしょう。

質の高い在宅医療推進に向けて新設された管理料や加算を中心に解説します。

参考:厚生労働省中央社会保険医療協議会「在宅(その5)」

在宅移行初期管理料の新設

在宅医療に移る患者の自宅を訪問し、多職種と協力して訪問薬剤管理指導を開始に向けた指導を行ったときの管理料として新設されるのが「在宅移行初期管理料」です。患者が在宅医療に移るときの1回のみ230点を算定できます。

対象患者は在宅訪問による重点的な服薬支援を行う必要性があると薬剤師が薬学的に判断した方です。具体的には以下の患者を指します。

  • 認知症患者
  • 精神障害のある患者など自身での服薬管理が難しい患者
  • 児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児である18歳未満の患者
  • 6歳未満の子ども
  • 麻薬の注射投与を行う患者、末期のがん患者

ただし、在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費および介護予防居宅療養管理指導費を算定することについて、医師からの指示を受けていることが前提となる点に注意しましょう。

参考:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」

夜間訪問加算・休日訪問加算・深夜訪問加算の新設

休日や夜間・深夜に緊急で在宅医療を提供したときに算定できる加算(夜間訪問加算・休日訪問加算・深夜訪問加算)が新設されます。麻薬の注射投与を行う患者や末期のがん患者が対象です。在宅訪問する時間帯によって算定できる加算が異なるため、算定要件を把握しておきましょう。

  • 夜間訪問加算(400点):午前8時前と午後6時以降であって深夜を除く時間帯。ただし、休日訪問加算に該当する休日の場合は、休日訪問加算を算定する
  • 休日訪問加算(600点):対象となる休日とは、日曜日や国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日のこと。なお、12月29日~31日、1月2日~3日は休日として取り扱う。ただし、深夜に該当する場合は深夜訪問加算により算定する
  • 深夜訪問加算(1,000点):深夜(午後10時から午前6時までの間)が対象となる時間帯

参考:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」

高齢者施設に関する加算の新設

高齢者施設における薬剤師業務を評価するためにいくつかの指導料・加算が新設されます。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の施設スタッフと共働し、入所時などに日ごろの服薬管理を容易にするために薬を整理したり指導を行ったりした場合に算定できるのが「施設連携加算」です。

また新興感染症などの患者に対して、医師の処方箋に基づいて薬剤師が施設を訪問し、必要や薬学的管理や指導を実施・薬剤を交付すると算定できる「在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1」が新設されます。

さらに従来の加算の見直しも行われます。ショートステイ(短期入所生活介護など)の利用者に対して薬学的管理を行った場合に「服薬管理指導料3」を算定できることが明確化されました。介護老人保健施設(老健)や介護医療員へ入所中の患者についても調剤報酬が算定可能になります。

参考:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」

【2024年診療報酬改定(調剤)】薬局・薬剤師業務の評価に関するポイント

患者がよりよい薬物治療を受けられるよう、近年かかりつけ薬局・薬剤師が推進されています。厚生労働省が作成した「患者のための薬局ビジョン」によると、かかりつけ薬局には以下の機能が必要です。

  • ICTを活用した、服薬情報の一元的・継続的把握
  • 24時間対応・在宅対応
  • 医療機関や介護施設との連携

国は2025年までにすべての薬局を「かかりつけ薬局」にすることを目指しています。2024年度の診療報酬改定(調剤)において、薬局のかかりつけ機能発揮に向けて薬局・薬剤師業務の評価の見直しが行われます。

参考:厚生労働省「患者のための薬局ビジョン 概要」

24時間対応に係る要件の見直し

地域の医療を支えるために休日・夜間における調剤応需や在宅医療の緊急対応などが求められており、24時間対応への体制整備が課題です。

2024年度の診療報酬改定(調剤)では、かかりつけ薬剤師による24時間対応の要件緩和が行われます。休日・夜間の患者からの電話相談などの問い合わせに応じられない場合には、薬局単位での対応が可能です。

原則かかりつけ薬剤師が相談に応じる必要はあるものの、かかりつけ薬剤師以外でも対応できるようになることで、患者からの問い合わせに対してすみやかに対応しやすくなるでしょう。

参考:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」

調剤後薬剤管理指導料の算定対象拡充

患者の服用状況を継続的かつ的確に把握するために、2019年12月に改正・交付された薬剤師法と薬機法により、2020年9月から薬剤師による患者フォローアップが義務化されました。2024年度の診療報酬改定(調剤)では、調剤後フォローアップによって算定できる加算の範囲が拡充されます。

糖尿病患者へ患者フォローアップを行うことで現行の調剤後薬剤管理指導加算を算定できるのは、インスリン製剤またはスルフォニル尿素系製剤が新規処方されるか投与内容が変更された場合でした。しかし診療報酬改定(調剤)後は、「調剤後薬剤管理指導料」へと名称が変更となり、糖尿病用剤が新規処方された場合と、投与内容に変更のあった場合に算定できます。

また糖尿病患者だけではなく、心疾患による入院歴があり、複数の治療薬の処方を受けている慢性心不全患者も算定対象患者に含められました。該当する慢性心不全患者へ患者フォローアップを行い、医療機関へ情報提供を行った場合には「調剤後薬剤管理指導料」を算定できます。

参考:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」
参考:日本薬剤師会「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き(第1.2版)」

診療報酬改定(調剤)のポイントをおさえ薬剤師として活躍しよう

2024年度の診療報酬改定(調剤)では、指導料・加算の新設や見直しが多く行われます。これまでは加算が算定できなかった業務でも算定できるようになっていたり、これまでは必要のなかった要件が増えていたりすることもあるでしょう。

加算の取りこぼしや誤って算定することがないよう、携わっている業務に関連する項目について算定要件や算定方法を調べるなど事前の準備が大切です。

無料で薬剤師の転職をサポートします!
まずは以下からご登録ください。
60秒カンタン登録!
Step1
働き方について教えてください。
どんな働き方がしたいですか?必須
いつから働けますか?必須
薬剤師免許はお持ちですか?必須
Step2
どちらにお住まいですか?
都道府県必須
最寄り駅必須
Step3
あなたについて教えてください。
お名前必須
フリガナ必須
生年月日必須
Step4
ご連絡方法をお選びください。
メールアドレス必須
電話番号必須
個人情報の取り扱いについてはこちらをご確認ください。

監修者のご紹介

星野 匡宣(薬剤師)

1998年、昭和薬科大学卒。多摩大学大学院にてMBA取得。
調剤薬局チェーンにてマネージャーを経験後、2009年にファーマリンクに入社。現在は、2023年にファーマリンクと合併したブラン・ド・ブランの執行役員。キャリアカウンセラーとしても活躍中。

さらに詳しく知りたい方はこちら

当サイトの編集ポリシー