トピックス
- 単発派遣は通常の派遣以上にフレキシブルで、「月に1回、数時間だけ」という働き方も可能
- 案件数が少ないため希望する条件の求人に出会えないケースがあり、法改正により単発派遣ができない薬剤師もいる点には注意
- 「スキマ時間や休日を有効に使って収入を増やしたい」
- 「育児の合間に家の近くで短期間だけ働きたい」
- 「転職活動の合間の働き口を探している」
「単発派遣薬剤師」であれば1日数時間から薬剤師として働くことができ、時給の相場は3,000円前後と、パートよりも高いケースがほとんどです。これらの点から「効率的に働くなら単発派遣薬剤師がよさそう」と考えられますが、単発派遣薬剤師は誰もができる仕事ではありません。労働者派遣法の改正により、「4つの例外」を除いて派遣できない決まりになったからです。
今回は、単発派遣薬剤師を目指す際の注意点や業務内容、求められる資質やスキル、「どんな方に向いているのか」などについてまとめていきます。
薬剤師の単発派遣って何?仕組みを解説
ここでは薬剤師の単発派遣について知っておきたい基礎知識と、高時給の単発派遣が求められる理由をご紹介します。
単発派遣とは
「単発派遣」は、最短1日からという短期間で雇用契約を交わす働き方です。日によって派遣先が異なったり、同じ派遣先でも就業時間が変わったりするため、「スポット勤務」と呼ばれることが多いようです。
派遣系求人の場合は最低でも派遣期間が31日以上、週20時間以上が原則なのに対し、単発派遣は30日以内で、かつ週20時間未満となっています。派遣以上にフレキシブルな雇用形態で、「月に1回、数時間だけ」という働き方も可能。より自由度の高い働き方を求めたい薬剤師から注目を集めています。
単発派遣薬剤師の業務内容
数時間で調薬棚の位置を覚えるのは難しいため、単発派遣薬剤師の仕事内容はおおむね調剤薬局での接客や服薬指導といった業務がメインになります。ただし、派遣先によっては調薬を任されることもあり得ます。
薬剤師とひと口にいっても、普段は調剤の業務を行わない企業薬剤師の方もいらっしゃるでしょう。単発派遣薬剤師として活躍する薬剤師の中には、普段は企業で働いて調剤業務に携わっていない方もいます。「調剤スキルを忘れないように」という思いから、単発派遣を使ってスキルを維持する方もいるようです。
ただし派遣先によって求められる作業範囲が異なるため、調剤スキルが一定レベルにない場合は業務に支障をきたしてしまうことも。少しでも不安があるなら、派遣会社と業務内容について事前に打ち合わせをしておきましょう。
地域によって異なる単発派遣薬剤師の求人数
派遣薬剤師の単発求人は、関東地方(都心)に多い傾向があります。より自由な働き方への需要が多いこと、派遣会社が多いことなどがその理由として挙げられます。
急募案件は高時給の傾向が
単発派遣薬剤師の時給は、一般的に3,000円程度です。「こんなに高時給だと裏がありそうで怖い」と思うかもしれませんが、時給が高くなる理由は「手間・負担の確実な削減」「超即戦力として緊急時に対応してもらえる」というメリットが雇用側にあるからです。
パートとして育てるとどうしても手間がかかり、「育ったと思ったら辞められてしまった」ということもあり得ます。であれば、「時給が高くてもほとんど手間がかからない即戦力を雇ったほうが効率的」という判断になるわけです。
さらに、調剤業務や要指導医薬品や第一類医薬品の販売業務は薬剤師にしか対応できません。そのため、急な欠員が出てしまうとお店を開けないという事態も考えられます。こういった急な欠員があったときや忙しい時期でも人員を確保するため、高時給設定の単発派遣薬剤師を募集する企業があるのです。
単発派遣薬剤師のメリットとデメリット
ここまで、単発派遣薬剤師の基礎情報について確認してきました。続いて、具体的なメリット・デメリットをまとめます。
単発派遣薬剤師のメリット
- ・1日数時間、週1日からでも働ける
- ・効率的に稼げる
- ・複数の調剤機器やレセコンの使い方を経験できるため、様々な現場で経験を積める
- ・人間関係に悩まされず気軽に働ける
- ・即戦力として頼られるのでやりがいもある
単発派遣薬剤師のデメリット
- ・派遣やアルバイトと比較すると案件数が少ないため、希望する条件の求人に出会えないケースがある
- ・派遣先の規模によっては、一人薬剤師になる可能性がある
- ・ボーナスが出ない
- ・責任のあるポジションへのキャリアアップができない
- ・人が足りない前提で雇われているので、仕事の量が多すぎる場合がある
- ・新卒配属等、時期によっては案件数が少なくなる可能性がある
メリット・デメリットから分かること
単発派遣薬剤師として気持ちよく仕事をするには、「調剤に苦手意識がないこと」や「現場経験を3年以上積んでいること」が望ましいといえます。キャリアアップやボーナス、研修の受講などは見込めないため、「副業」として割り切り、薬剤師として効率よく稼げる仕事を探している方なら満足度は高いでしょう。
法改正により単発派遣ができなくなった薬剤師がいる?
2012年10月に労働者派遣法が改正され、単発派遣・日雇い派遣が例外を除いて原則禁止になりました。単発派遣が可能なのは、次の条件に「1つでも当てはまる薬剤師」です。
- ・60歳以上
- ・学生(雇用保険に入っていない)
- ・本業の年収が500万円以上
- ・世帯年収の合計が500万円以上
特に、「本業の年収が500万以上の方」に当てはまり、休日などを利用して副業感覚でたくさん稼ぎたい薬剤師を本業とされる方や、「主たる生計者でなく、世帯年収が500万以上の方」に当てはまる主婦・ママ薬剤師の方に人気がある働き方になっています。
パートなどの直接雇用で短期間働くか、労働契約の期間が31日以上の短期派遣薬剤師として活躍するのであれば問題ありませんが、上記に当てはまらない場合は残念ながら単発派遣薬剤師にはなれません。
単発派遣薬剤師に向く人・向かない人
単発派遣薬剤師はどんな薬剤師だと単発派遣に向いており、どんな薬剤師には向いていないのでしょうか?
単発派遣に向いている薬剤師
- ・3年以上の調剤経験があり、調剤スキルに自信がある
- ・短期間に集中して働いてお金を貯めたい
- ・定期的にまとまった休みを気兼ねなくとりたい
- ・育児や介護などで毎日のフルタイム勤務が難しい
- ・同じ職場はすぐに飽きてしまう
- ・人間関係のストレスに悩まされたくない
単発派遣に向いていない薬剤師
- ・調剤未経験・調剤経験が短く、調剤スキルに自信がない
- ・長期のブランクがある
- ・環境への順応や、フロー・ルールを覚えることが苦手
- ・遅い時間までの勤務や土曜日の勤務が難しい
能力があり臨機応変に働ける方におすすめ
単発派遣薬剤師は即戦力として、派遣先の欠員を埋めたり正社員に有給休暇を取らせたりする目的で派遣される役割です。そのため1人薬剤師になることも少なくなく、人手不足となる土曜日や連休前後などに依頼が集中する傾向があります。
能力があり、需要と合致するタイミングで単発の仕事を入れられる方だと、効率よく働けるでしょう。
あなたらしく働ける環境は、必ずあります
単発派遣薬剤師には、薬剤師としての総合的な能力と業務の把握能力や異なる現場への順応力が求められます。期待値が高いこともあり、経験豊富な方でないと少々厳しいところもあるでしょう。
しかし、だからといって「自分は単発派遣に向かないだろう」と、諦めてしまうのは早計です。スキルアップやよりよい環境・待遇を求めて転職やキャリアチェンジを考えたい場合は、薬剤師専門の転職エージェント「ファーマリンク」をご活用ください。薬剤師経験を積んだベテランのキャリアドバイザーが、あなたらしく働ける新しいステージへの一歩をお手伝いいたします。