臨床薬剤師の仕事について教えてください
臨床薬剤師の仕事は、主に患者に合った薬の量やタイミングなどを設計し、そこからどんな効果が期待できるかを予測して医師に提案することです。臨床薬剤師は、病院内でも重要な位置付けにあり、医薬品のスペシャリストとして活躍することができます。
臨床薬剤師とはアメリカで新しく誕生した薬剤師の働き方
臨床薬剤師とは、医療先進国であるアメリカで誕生した新しい薬剤師の働き方の1つです。アメリカでは、薬学教育に力を入れており、臨床薬剤師は高度な専門知識を持っています。そのため患者や医師、看護師からの信頼も厚く、医療スタッフとしても重要な立場となっているのです。臨床薬剤師が果たすべき役割の例として、従来の薬剤師よりも一歩踏み込んだ薬剤管理業が挙げられます。
アメリカのクリニカルファーマシストは医療機関に所属し、時には患者に処方箋を作成することもあります。一方日本ではまだ臨床薬剤師という仕事自体の歴史が長くないことから、業務内容が明確になっていません。実際には、病院薬剤師の仕事とさほど変わりないのが現状です。しかし、医薬分業化がこの先も進むことを鑑みると、臨床薬剤師の役割が明確、重要になっていくことは間違いないでしょう。本来の臨床薬剤師が果たすべき役割の例として、従来の薬剤師よりも一歩踏み込んだ薬剤管理業が挙げられます。大きく分けた3つの業務を以下で具体的にご紹介します。
患者が服用している医薬品の情報管理
患者が服用する薬の履歴管理、いわゆる薬歴管理も臨床薬剤師の主な仕事の1つです。個々の患者にどんな薬を投与しているのか、効き目はあったのか、といったデータを記録簿にて管理します。データを記録することで、患者へのアドバイスに利用したり、それぞれの患者に合った新たな治療に利用することができるのです。また、服用後の経過で副作用が現れれば、今後の安全な投薬に活かすデータとして管理する必要があります。患者との対話から経過や薬の効き目を知ることもありますので、コミュニケーション能力が求められる業務です。
医薬品の効果予測・投与設計
臨床薬剤師には、性別や年齢、体格といった情報や様々なデータをもとに、投薬によって現れる効果を予測する仕事があります。個々の患者に対し、もっとも大きい効果が期待できる投薬タイミングを見定め、医師に提案するのも臨床薬剤師が担う役割の1つひとつです。そのため臨床薬剤師には、患者一人ひとりに対応できるよう、あらゆる薬について深い知識が必要となります。
正しい服薬法の指導
患者に処方薬を正しく服用してもらうために、服薬指導を行うことも、臨床薬剤師の業務になります。医薬品の専門家という立場から、服用量、服用のタイミング、また、服用そのものの意義といったことを患者に理路整然と説明する必要があるのです。臨床薬剤師の対応する患者には、小児から高齢者まで幅広い年齢層の人がいます。そのため臨床薬剤師には、それぞれに対応できるコミュニケーション能力も求められます。
日本の臨床薬剤師は、歴史が浅いため役割が不明確なことは否めません。しかし、今後は役割が明確化され、アメリカと同様に重要な立場になっていく可能性が十分にあります。
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監修者のご紹介
- 星野 匡宣(薬剤師)
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1998年、昭和薬科大学卒。多摩大学大学院にてMBA取得。
調剤薬局チェーンにてマネージャーを経験後、2009年にファーマリンクに入社。現在は、2023年にファーマリンクと合併したブラン・ド・ブランの執行役員。キャリアカウンセラーとしても活躍中。
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