薬学生にとって、就職先選びは今後の人生を大きく左右する重要な問題です。しかし、就職先を選ぶにあたって、何を優先したらいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。年収などの待遇はもちろん、働きやすさや仕事の内容も気になるところです。

 また、就職先を選ぶなら、将来のキャリアアップにつながる職場のほうが有利です。ここでは、就職先を選ぶコツを、3つのポイントに絞ってご紹介しましょう。

ポイント1:一番やりたい業務は?【仕事内容】

 薬剤師が活躍できる職場には、 病院、 調剤薬局、ドラッグストア、 製薬企業などがあります。

 薬学生に人気があるのは「病院」です。特に特定機能病院や地域医療支援病院などでは、最先端の高度医療に携わることができます。患者とコミュニケーションを取り、医療の最前線で働きたいなら、入院病棟のある病院や総合病院を希望するといいでしょう。

 薬剤師にとってもっとも一般的な職場の一つは調剤薬局です。地域に根差した医療を目指すなら、在宅医療を推進している薬局やかかりつけ薬局などがおすすめです。少子高齢化により、日本では今後在宅医療の需要はますます増えることが予想されているからです。

  医療用の薬だけでなく一般薬(いわゆるOTC)や衛生用品も含めて知識をつけ、 地域の人々の健康を総合的に支えたいという思いがあるなら、OTCや介護用品を幅広く扱うドラッグストアが適しています。

 薬の研究や新薬開発に携わりたいなら、製薬会社に就職するのがよいでしょう。特に新薬の開発は医療の最先端ですから、非常にやりがいがあるでしょう。薬剤師としての知識を生かしたMRとして活躍する道もあります。

ポイント2:専門性を高める?知識の幅を広げる?【キャリアプラン】

 薬剤師としての専門性を追求するなら、研修が充実しており専門・認定薬剤師の資格取得を支援してくれる病院や調剤薬局への就職がおすすめです。ちなみに、薬剤師として取得しておくとよい資格には、地域住民の健康をサポートする「プライマリ・ケア認定薬剤師」や、がん治療における薬物療法に特化した「緩和薬物療法認定薬剤師」、糖尿病患者をケアする「糖尿病療養指導士」、認知症患者をケアする「認知症研修認定薬剤師」などがあります。

 また、医薬品以外にも知識の幅を広げたいなら、化粧品や健康食品も扱うドラッグストアで経験を積むのがよいでしょう。面分業を推進しているドラッグストアなら、OTC医薬品の取扱品目が多いのでスキルアップにつながります。最近では調剤薬局を併設したドラッグストアも増えているので、こうした店舗も候補に入れましょう。

ポイント3:都市部で?地元で?【働き方】

 薬剤師としての勤務先を都市部と地元のどちらにするかは悩ましい問題です。都心部には様々な薬局があり、薬剤師の数も比較的足りているエリアが多いため正社員やパートなどの働き方が主になります。一方、公共交通機関のアクセスが悪いエリアは、パートや派遣などの働き方で自由に働くことが、ある程度は可能です。全国展開の大手チェーンの中には勤務エリアの希望が出せる薬局もあるので、就職活動の前に確認するとよいでしょう。

  慢性的に薬剤師の数が不足するエリアでは都市部よりも高い給与水準で薬剤師を募集していることも多く、高収入が狙えます。 地元の医療に貢献したいなら、薬剤師会の活動に参加している個人経営の薬局や中小規模の薬局がよいでしょう。

職場によって待遇が違うことにも注意

 薬剤師の年収は働く職場によって変わります。また、実務を通してスキルを磨ける職場を選んだほうが、将来のキャリアや年収アップに役立ちます。そのためには、調剤薬局に勤務するなら管理薬剤師または各種認定薬剤師を目指すなど、明確なビジョンを持って仕事に取り組むことが大切です。

 薬剤師は忙しい現場が多いので、ともすると日々の業務に忙殺されてしまいがちです。そのため、「3年以内に〇〇の資格を取る」といった目標を設定することをおすすめします。このようにして着実にキャリアアップしていけば、理想とする勤務条件や年収の職場に就職することができるでしょう。

 薬剤師としての就職先で悩んだら、現役の薬剤師の声を聴いてみてはいかがでしょうか。ファーマリンクのキャリアカウンセラーは全員が現役の薬剤師。薬剤師としての経験を活かしてアドバイスを行いますので、お気軽にご相談ください。