チーム医療における病院薬剤師の役割

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チーム医療で求められる病院薬剤師の役割と重要なスキル

2021年1月29日更新

トピックス

  • チーム医療は多様な医療専門職が情報を共有し、質の高い医療を提供する取り組み
  • チーム医療には病気の早期発見や回復促進、ヒューマンエラー予防などのメリットがある
  • 病院薬剤師は患者や家族、ほかの専門職に対し、薬剤に関する説明や指導を行う

 安心で安全な医療を求める声が大きくなるなか、医療現場では技術の進化や人手不足の影響を受け、作業が高度化・複雑化しています。そこで注目されるようになったのが「チーム医療」という考え方です。各分野の専門家が一丸となって医療にあたれば、一人ひとりの負担も軽減され、最善の治療を行うことができます。

 今回はチーム医療に参加する職種や各チームの特徴を踏まえながら、病院薬剤師に求められる役割とスキルについて解説します。

チーム医療とは?

 チーム医療とは、医師、看護師、作業療法士、薬剤師など多様な医療専門職が患者の情報を共有し、患者一人ひとりの状況に合った医療サービスを提供する取り組みです。チーム医療の対象には入院患者だけでなく、外来で通院する患者も含まれますが、今回は病院内でのチーム医療に絞って紹介します。

チーム医療で見込める効果

 チーム医療に参加するスタッフは、医療の各分野において専門的な職能を有する人々です。それぞれの知識や能力を組み合わせれば、患者の病気の早期発見や病後回復促進などが期待できます。さらに、重症化を防ぐことにも有効です。また、同じ患者の症状でも、専門分野の異なるスタッフが多角的な視点で検証すれば、幾通りもの治療の可能性が見えてきます。

 それらの情報をチームで共有すれば、治療の効果をしっかり見極めることができる上に、医療ミスの防止にも役立ちます。チームで医療にあたる病院側のメリットは、医療の効率が上がることと、医療現場におけるヒューマンエラーを可能な限り減らせることでしょう。チームで医療にあたるからこそ、発見できる異常もあるのです。

 また、チームで取り組むことによって、各スタッフの負担が軽くなるのも大きなメリットとして挙げられます。負担が軽減されれば、それだけ多くの患者を担当できるようになります。このようにチーム医療には多くの利点があるため、国の強力なバックアップによって進められようとしています。

チーム医療の現状と問題点

 しかし、チーム医療にも問題点があります。各スタッフは自身の専門分野については詳しくても、他の専門職の仕事まで十分に理解しているとは限りません。そのため、どのスタッフがどこまで担当するのか、明確に分けることが困難なケースがあります。「ここは他のスタッフがやるだろう」といった思い込みがあると、誰も手をつけない部分が出てきてしまいます。

 また、専門分野に特化したスタッフが集まるチーム医療を成功させるには、強力なリーダーシップを発揮する現場責任者の存在も重要です。これらの課題をクリアしないことには、チーム医療が持てる力を十分に発揮することは難しいでしょう。そもそも、人手不足でチーム医療の導入や参画が難しい医療機関もあります。

チーム医療におけるそれぞれの医療専門職の役割

 チーム医療に関わる各専門分野のスタッフには、どのような役割が期待されているのでしょうか。

医師

 医師は患者を診察し病名を確定して、薬剤や手術などの方法を用いて治療を行います。患者を診察して診療する臨床医と、病気の原因や治療法を研究する研究医がいます。

看護師

 看護師は診療の補助をし、入院患者の治療上の世話をします。最近では、病気の不安に悩む患者や家族の心のケアをするのも、重要な役割のひとつです。病院のほか、訪問看護や福祉施設などでも活躍しています。

救急救命士

 救急救命士は、患者を搬送中の救急車の中で、医師の指示を受けながら救急救命処置を行います。病院に到着するまでの間、救急車の中で行う応急処置が人命を救うことも少なくありません。かつて救急隊員は医療行為ができませんでしたが、救急車内で医療行為を行える「救急救命士」が誕生したことで、この問題が解決されました。

理学療法士

 身体の基本的な機能回復のためのリハビリテーションを支援する専門家です。患者に対して歩行などの練習を行う「運動療法」や、機械の使用により痛みや筋肉の麻痺などを取り除く「物理療法」を提供します。

作業療法士

 作業療法とは、手芸や工芸などを通して身体や精神に障害のある人の身体的能力と精神面での安定を回復させるための療法です。つまり、心と体のリハビリテーションを行うのが作業療法士の仕事です。

管理栄養士

 管理栄養士は、入院患者の食事の栄養管理を行います。適切な栄養管理をすることで、患者の回復が早まります。患者を直接治療するものではありませんが、食と栄養を通して患者をサポートします。

臨床工学技士

 医師の指示に従いながら、生命維持装置の操作と保守点検を行うのが臨床工学技士です。さらに、手術室やICUなどでは重篤な状態の患者を救うために、電気メスやペースメーカーなどの医療機器が安全に使えるように管理します。

多種多様なチーム医療における薬剤師の業務内容

 薬剤師はこれら各分野の医療専門スタッフと緊密に連携を取りながら、医薬品のスペシャリストとして必要に応じて医薬の知識と経験を活かし、他の医療スタッフに適切なアドバイスを行います。以下では各チームにおける病院薬剤師の役割を見ていきましょう。

リハビリテーションチーム

 心身に障害を持つ患者に対して、日常生活ができるようにリハビリを行います。事故や脳卒中、脊髄の病気などで手足に麻痺があり、思うように身体を動かせない人が対象です。また、精神に病気や障害のある人の心のケアも行います。

 薬剤師は経口摂取が困難な患者のために、静脈や腸から栄養を摂らせる静脈・経腸栄養療法の処方設計を行い、患者に適正な薬が処方されるように医師にアドバイスします。処方の後も、患者の経過を見守り、上記の栄養療法などが適正に行われているか確認します。

 その際、患者の家族に対して静脈・経腸栄養剤に関する情報提供や在宅栄養療法の指導・支援を行うことも薬剤師の重要な役割です。患者が薬剤に関する不安や疑問を気軽に相談できるよう、日頃から積極的にコミュニケーションを取りましょう。

医療安全管理チーム

 人工心肺装置などの生命維持装置を管理し、適正に使用できるように点検するのが仕事です。さらに、病院の機器全般について安全に使用できるように指導し、必要に応じて研修を行ったり、使用法の改善策を提案したりします。また、医療事故が発生したら、再発防止策を立てるのもこのチームの役割です。

 ちなみに、病院で起こるミスで多いのが薬の投与に関するものです。医学の進歩とともに薬物療法も高度化していますが、病院薬剤師ではなく医師や看護師が薬剤の管理を行っているケースもあります。この場合は医師や看護師が本来業務に専念し、ヒューマンエラーを防止するために、薬剤管理は病院薬剤師が行う体制を構築することが望ましいでしょう。

呼吸ケアサポートチーム

 呼吸が困難な患者に対して、呼吸状態の改善をはかるチームです。人工呼吸器をつけた患者のほか、手術後に呼吸に影響がみられる患者をサポートします。人工呼吸器をつけると肺炎など肺の病気にかかる恐れがあるので、適切な医薬品を投与して予防をするのが薬剤師の仕事です。

感染症対策チーム

 入院患者や病院職員などが、感染症にかからないように予防措置を行います。また、病院内の感染症に関する教育を行い、医薬品の管理を行う専門チームを作って業務にあたります。薬剤師は感染症治療のために抗菌薬などを投与する場合に、適切な抗菌薬を選択して用法、用量、投薬期間などについて医師にアドバイスを行います。

救急医療チーム

 緊急を要する怪我や病気の患者に対応するチームです。救急救命士が搭乗した救急車で、患者を救急病院まで搬送します。命に関わる病気や、重傷を負った患者を救命するために力を尽くします。緊急を要する現場で蘇生治療に必要な医薬品を、医師が的確かつ迅速に選択できるよう管理するのが病院薬剤師の仕事です。

糖尿病チーム

 糖尿病の患者の療養生活をサポートするチームです。糖尿病には糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの合併症以外にも、神経痛や失明、腎不全、透析などを引き起こす恐れがあります。このような重篤な状態に陥らないようにケアします。薬剤師は、糖尿病と上記の合併症の治療に必要な薬剤について助言し、患者とも信頼関係を築いて薬学的観点から支えます。

チーム医療に関わる薬剤師に必要なスキル

 チーム医療に参加する病院薬剤師には、どのようなスキルが必要なのでしょうか。

医師の処方箋に基づいた適正な調剤

 調剤は薬剤師の重要な仕事であり、ミスの許されない厳しい業務です。薬剤の中には、わずかに量が多いだけで副作用を起こすものもあるため、緻密な調剤が必要です。

薬物治療を受けている患者への服薬指導および管理

 調剤と同様に、服薬指導も重要です。患者の症状を把握して、常用している薬をチェックした上で的確な服薬指導を行います。

投薬後の患者の経過および副作用などの確認

 薬剤師の仕事は、薬を投薬したら終わりではありません。投薬後に患者の状況をチェックして、必要があれば治療方針を改善していくことも大切です。

医師への疑義照会および薬剤の投与量や投与期間など処方に関する提案

 医師の処方箋に疑問があれば、疑義照会して正しい投薬をすることが必要です。疑義照会を怠ると、患者が重篤な状態に陥る恐れもあるため、十分な注意が欠かせません。

チームの要として活躍する病院薬剤師が必要

 チーム医療に関わる薬剤師には高度な知識や技術が求められます。それは、患者やその家族だけでなく、ほかの医療専門職から薬剤に関する相談を受けたとき、適切なアドバイスを行うことも薬剤師の仕事だからです。薬剤師の活躍なしにはチーム医療の安心・安全は守られないと言っても過言ではないでしょう。チーム医療の一員として活躍したいなら「専門薬剤師」や「認定薬剤師」の資格を取得して、知識やスキルの研鑽に励むことが重要です。

 チーム医療で活躍できる薬剤師を目指して、より専門性の高い業務の経験を積みたい薬剤師の方は、ファーマリンクまでお気軽にご相談ください。現役の薬剤師でもあるキャリアカウンセラーが希望を伺い、求人情報の紹介などキャリアアップのためのサポートをいたします。

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監修者のご紹介

星野 匡宣(薬剤師)

1998年、昭和薬科大学卒。多摩大学大学院にてMBA取得。
調剤薬局チェーンにてマネージャーを経験後、2009年にファーマリンクに入社。現在は、2023年にファーマリンクと合併したブラン・ド・ブランの執行役員。キャリアカウンセラーとしても活躍中。

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